「使い勝手が悪い和室をフローリングにして、広々とした洋室として使いたい」
リフォームのきっかけとして非常に多いご要望ですが、実は最も「やってよかった」と「やらなきゃよかった」の評価が分かれる工事でもあります。
失敗するパターンのほとんどは、見た目だけを綺麗にして「見えない性能」を無視してしまった場合に起こります。特に深刻なのが「寒さ」の問題です。
今回は、畳からフローリングへの変更でよくある後悔の実例と、それを防ぐためにプロが行っている「暖かいリノベーション」のポイントをご紹介します。
■【現実】「畳からフローリング」にして後悔する3大パターン

・想像以上に「底冷え」する
最も多い後悔の声が「冬場、床が冷たくて座っていられない」というものです。
実は、畳というのは「断熱材」そのものです。厚さ5cmほどの藁(わら)やポリスチレンフォームでできた畳床には空気がたっぷり含まれており、床下からの冷気を遮断する役割を果たしています。
その畳を撤去し、ペラペラのフローリング材(厚さ1.2cm程度)を張っただけでは、断熱性能は著しく低下します。結果として、暖房をつけても足元だけが氷のように冷たい、底冷えする部屋になってしまうのです。
・生活音が響くようになった
次に多いのが「音」の問題です。畳はクッション性があり、足音や物を落とした時の衝撃音を吸収してくれます。しかし、一般的なフローリングは硬いため、音を反響させてしまいます。
特にマンションの場合、和室を洋室にした途端に「下階の住人から足音がうるさいと苦情が来た」というトラブルに発展することがあります。戸建ての2階でも、1階のリビングに足音がドスドスと響くようになり、家族間で気まずくなるケースも少なくありません。
・「なんちゃって洋室」の違和感
最後はデザインの問題です。和室特有の柱(真壁)や鴨居、長押(なげし)を残したまま、床だけを明るい色のフローリングに変えると、どうしても「無理やり洋室にしました感」が出てしまいます。
和の建具と床材の色味が合わず、チグハグな空間になってしまうと、結局落ち着かない部屋になり、物置化してしまうこともあります。
【目次】
- 【現実】「畳からフローリング」にして後悔する3大パターン
- 【構造】なぜ「DIY」や「激安工事」では失敗するのか
- 【解決策】「冷たくない・うるさくない」快適な洋室の作り方
- 【デザイン】和の柱や鴨居を活かす「木造リノベーション」
- 【自社紹介】和と洋を知り尽くした「亀谷工務店」の強み
- 【まとめ】和室リフォームは「床下の見えない工夫」で決まる
■【構造】なぜ「DIY」や「激安工事」では失敗するのか

・畳とフローリングの「厚みの差」が盲点
なぜ、安易なリフォームは失敗するのでしょうか。最大の理由は「厚みの差」の処理にあります。
一般的な畳の厚さは約55mm〜60mmですが、フローリング材の厚さは12mmしかありません。そのまま張り替えると、約40mm以上の段差ができてしまいます。
DIYや激安工事では、この段差を埋めるために「根太(ねだ)」という下地材を組んで高さを合わせますが、この「隙間」の処理が甘いと致命的です。
・床下が「太鼓」のように音を増幅させる
単に木材で高さを上げただけの床下は、いわば空洞の箱のような状態です。これが「太鼓」と同じ原理で音を共鳴させ、足音を大きく響かせてしまう原因になります。
また、古い木造住宅の場合、床下の隙間風がその空洞に入り込み、フローリングを裏側から冷やし続けます。「とりあえず平らになればいい」という考えでの工事は、住環境を劇的に悪化させるリスクがあるのです。
■【解決策】「冷たくない・うるさくない」快適な洋室の作り方

・「断熱材」の充填は必須条件
寒さ対策の決定打は、床下の断熱工事です。畳を撤去してできた高さ調整のスペース(根太の間)に、スタイロフォームやグラスウールなどの断熱材を隙間なく敷き詰めます。
これにより、床下からの冷気をシャットアウトし、室内の暖かさを逃がさない構造を作ります。プロとして断言しますが、畳からフローリングにする際、この断熱工事を省くことはおすすめしません。数万円のコストを削って一生寒さに耐えるより、最初に対策をしておくことが長い目で見て最もコストパフォーマンスが高い選択です。
・遮音フローリングや二重床の採用
音の問題に対しては、マンションであれば管理規約で定められた遮音等級(L-45など)をクリアした「遮音フローリング」を使用するのが基本です。裏にクッション材がついているため、独特のフワフワした歩き心地になります。
戸建てや、歩行感を重視したい(硬い床がいい)場合は、フローリングの下に遮音マットを敷き込むか、床の下地を二重に張って剛性を高める方法があります。これにより、音の響きを抑えつつ、しっかりとした踏み心地を実現できます。
■【デザイン】和の柱や鴨居を活かす「木造リノベーション」

・「和」を消すのではなく「調和」させる
和室を洋室にする際、柱や長押(なげし)といった木部が見えている「真壁(しんかべ)」構造の場合、壁紙や床だけを白くモダンにしてしまうと、古い木部だけが浮いてしまい、チグハグな印象になりがちです。
失敗しないデザインのコツは、既存の木部の色にフローリングの色を合わせることです。年月を経て飴色になった柱には、同じく深みのある色合いのオークやウォールナット、あるいは着色した無垢材などを合わせることで、京都の町家カフェのような落ち着いた「和モダン」な空間に生まれ変わります。
・「大壁」にして完全な洋室にする選択肢
もし、完全に和の要素を消してフラットな洋室にしたい場合は、柱を壁の中に隠す「大壁(おおかべ)」にする工事が必要です。
これには壁の下地を作る工事が追加で必要になりますが、断熱材を壁にも入れることができるため、部屋全体の断熱性能がさらに向上します。中途半端に柱を残して後悔するより、目指すインテリアのテイストに合わせて、壁の構造から見直すのも一つの正解です。
■【自社紹介】和と洋を知り尽くした「亀谷工務店」の強み

・敷居の段差解消も「大工の腕」次第
株式会社亀谷工務店は、単に床を張り替えるだけの工事はいたしません。特に和室から洋室へのリフォームで重要になるのが、隣接する部屋との「敷居」や「段差」の処理です。
私は京都での12年間の修行を通じ、数寄屋建築や町家建築といった「和の構造」を徹底的に学んできました。そのため、既存の敷居を綺麗に撤去し、廊下やリビングとフラットに繋がるバリアフリーな床を作るための、繊細な加工技術を持っています。
古い柱の足元が腐っていれば継ぎ木で補修し、建具の建て付けが悪ければ調整する。そうした「見えない部分の丁寧な仕事」こそが、長く安心して住める家づくりには不可欠だと考えています。
・横須賀・三浦エリアで「寒くないリノベ」を実現
当社は横須賀・三浦・逗子・葉山エリアに密着し、自社職人による施工を行っています。海沿いや谷戸の多いこの地域特有の湿気や寒さを熟知しているからこそ、ただフローリングにするだけでなく、床下の防湿・断熱対策をセットにした提案が可能です。
「大手に頼むとマニュアル通りの提案しか出てこない」「予算内でこだわりの空間を作りたい」という方は、ぜひ私たち職人に直接ご相談ください。
■【まとめ】和室リフォームは「床下の見えない工夫」で決まる
・目に見えない「下地」にお金をかける価値
「畳からフローリング」へのリフォームは、部屋の印象を劇的に変える素晴らしい工事です。しかし、その快適さを決めるのは、表面のフローリング材ではなく、その下にある「断熱材」や「防音下地」です。
目に見える仕上げ材にお金をかけるのも良いですが、目に見えない下地部分にこそコストをかけることが、将来的な「やってよかった」につながります。冬の朝、素足で歩いてもヒヤッとしない。そんな快適な洋室を手に入れましょう。
・プロの診断で「後悔しないプラン」を
亀谷工務店では、お客様の現在の和室の状態を確認し、
- 「断熱材を入れるスペースは十分にあるか」
- 「マンションの防音規定をクリアするにはどの床材が良いか」
- 「既存の柱を活かしたデザインは可能か」
といった点をプロの視点で診断いたします。
無理な営業は一切ありません。まずは現地調査で、あなたの家のポテンシャルを確認させてください。お問い合わせをお待ちしております。

