古くなった畳を洋室風にしたいと考えたとき、フローリングより手頃に見えるクッションフロアが候補に入ることがあります。木目や石目などデザインの種類が多く、水や汚れを拭き取りやすい点も魅力です。
ただし、畳からクッションフロアへの変更は、畳を剥がしてシートを貼れば終わるほど単純ではありません。畳は一般的な床材より厚く、柔らかさもあります。一方のクッションフロアは薄いため、畳を撤去した場所へそのまま貼ることはできません。
必要なのは、畳を撤去したあとに床下を確認し、根太や合板で高さを調整して、硬く平らな下地をつくる工程です。ここを省くと、見た目は一度きれいになっても、床が沈む、表面が波打つ、継ぎ目が開くといった不具合につながります。
「クッションフロアは安い」というイメージだけで決めるのも要注意です。材料自体は比較的手頃でも、畳の処分、下地の補強、高さ調整、断熱などが必要になれば、工事費は変わります。まずは現在の床がどのような状態かを確認することが先です。
【要点まとめ】
- 畳の上にクッションフロアを直接敷くと、湿気やズレによる失敗が起こりやすい
- 畳を撤去した場合は、根太や合板を使って床の高さと平らさを整える必要がある
- 材料費が安くても、下地工事まで含めると想定より費用がかかることがある
- 長く使う部屋では、クッションフロアとフローリングの特徴を比較して選ぶことが大切
【目次】
- 畳からクッションフロアへの変更はできる?
- 失敗1~4|湿気・段差・下地で起こるトラブル
- 失敗5~7|浮き・へこみ・寒さによる後悔
- 失敗を防ぐ正しい施工手順
- クッションフロアとフローリングはどちらを選ぶ?
- まとめ|見えない下地まで確認してから決めよう
■失敗1~4|湿気・段差・下地で起こるトラブル

・失敗1|畳の上に直接敷いてカビが発生する
畳を撤去せず、その上からクッションフロアを敷けば、工事費も手間も抑えられそうに見えます。しかし、畳とシート状の床材の間に湿気がこもると、カビやダニが発生しやすくなります。
クッションフロアは水を通しにくい反面、畳にたまった湿気も逃がしにくい素材です。梅雨時の湿度が高い部屋、結露しやすい部屋、もともとカビ臭がする和室では、とくに注意が必要でしょう。
防カビシートを挟めば必ず解決するわけでもありません。畳自体が湿っていたり、床下に湿気の原因があったりすると、上から覆っても問題は残ります。
・失敗2|畳を撤去したあとに大きな段差ができる
畳を撤去すると、廊下や隣の洋室より床が大きく下がります。そのままクッションフロアを貼った場合、出入口に段差が残り、つまずきやすくなるだけでなく、見た目にも不自然です。
段差を見切り材だけで隠そうとしても、高低差が大きければ納まりません。根太や合板の厚みを調整し、隣接する床とできるだけ同じ高さに仕上げる必要があります。
また、床を上げすぎると、ふすまやドアが開かなくなることもあります。床の高さは、出入口だけでなく建具との関係まで見て決めなければなりません。
・失敗3|下地が平らでなく表面が波打つ
クッションフロアは薄いため、下地の凹凸が表面に出やすい床材です。合板の継ぎ目、ビスの頭、古い接着剤の残りなど、わずかな出っ張りでも光の当たり方によって目立ちます。
施工直後は気にならなくても、歩くうちに継ぎ目の形が浮き出たり、一部分だけ沈んだりすることもあります。見た目を整えるには、合板を張るだけでなく、継ぎ目やビス穴を処理して平滑な状態にすることが欠かせません。
・失敗4|床下の傷みを隠したまま仕上げる
古い和室では、畳を上げたときに下地のたわみ、根太の傷み、湿気による腐食が見つかる場合があります。表面だけクッションフロアで覆っても、床下の問題は直りません。
下地が弱いまま使い続けると、歩くたびに床が沈み、クッションフロアが引っ張られて破れることがあります。シロアリ被害や水漏れの跡がある場合は、床材を選ぶ前に原因への対応が必要です。
■失敗5~7|浮き・へこみ・寒さによる後悔

・失敗5|継ぎ目が開く、端が浮く
クッションフロアは、部屋の形に合わせて裁断し、専用の接着剤で下地へ固定します。下地にホコリや湿気が残っていたり、接着剤の量が合っていなかったりすると、壁際や継ぎ目が浮く原因になります。
複雑な形の部屋では、柱や建具枠の周囲を正確に切る技術も必要です。隙間をコーキングで埋めれば一時的に目立たなくなりますが、切り方や接着が不十分なら再び開く可能性があります。
・失敗6|家具の跡やキャスター傷が残る
クッションフロアには弾力があるため、重いベッドやタンスを長期間置くと、脚の形がへこみとして残ることがあります。椅子や収納家具のキャスターを繰り返し動かすことで、表面が削れたり破れたりすることも珍しくありません。
家具を多く置く部屋では、厚みや耐久性を確認し、脚の下に保護板を敷くなどの対策が必要です。価格だけで薄い製品を選ぶと、張り替え時期が早まり、結果的に費用がかさむこともあります。
・失敗7|畳より足元が冷たくなる
畳は厚みがあり、足裏に伝わる冷たさをやわらげてくれます。畳を撤去して薄いクッションフロアに変えると、床下の冷気を感じやすくなる場合があります。
クッション性があるため冷たくなりにくいと思われがちですが、床下の断熱が不足していれば根本的な解決にはなりません。とくに築年数の古い木造住宅では、畳を剥がした段階で断熱材の有無や状態を確認しておきたいところです。
仕上がりの見た目だけでなく、冬にその部屋でどう過ごすかまで考えることが、床材選びで後悔しないポイントです。
■失敗を防ぐ正しい施工手順
畳からクッションフロアへ変更する場合、一般的には次のような順番で工事を進めます。住宅の構造や床下の状態によって内容は変わりますが、下地を確認せずに仕上げ材を貼ることは避けなければなりません。
- 畳を撤去して処分する
- 畳の下にある板や床下の湿気、腐食、沈みを確認する
- 必要に応じて根太を補強し、床下へ断熱材を施工する
- 合板を張り、廊下や隣室に合わせて床の高さを調整する
- 合板の継ぎ目やビス穴を処理し、下地を平らにする
- クッションフロアを部屋の形に合わせて裁断する
- 専用接着剤で貼り、継ぎ目や壁際を仕上げる
- 段差、建具の開閉、床の沈みがないか確認する
なかでも重要なのは、床の高さと下地の平らさです。仕上げ材を貼ってからでは調整しにくいため、合板を張る段階で細かく確認します。
マンションの場合は、管理規約で床材の遮音性能が定められていることもあります。和室を洋室に変える前に、使用できる床材や工事可能な時間帯、管理組合への申請が必要かも確認してください。
まだクッションフロアにするか決めていない方も、畳の傷みや部屋の使い方を伝えるだけで、必要な下地工事を整理しやすくなります。
■クッションフロアとフローリングはどちらを選ぶ?
クッションフロアが向いているのは、初期費用を抑えたい、水や汚れを拭き取りやすくしたい、数年後の張り替えも想定しているといった方です。子ども部屋や洗面所に近い部屋など、使い方によっては扱いやすい選択肢になります。
一方、長期間使いたい部屋、重い家具を多く置く部屋、木の質感や耐久性を重視する場合は、フローリングの方が合うこともあります。表面に傷がついたときの補修方法や、将来のメンテナンスまで含めて比較すると判断しやすいでしょう。
また、クッションフロアにすれば必ず大幅に安くなるわけではありません。畳を撤去した後の下地工事は、どちらの床材を選んでも必要になるためです。仕上げ材の価格差だけで見積もりを比べると、必要な補強や断熱が含まれていないことがあります。
見積書では、畳の撤去処分、根太や合板、断熱材、床材、巾木や見切り材まで分けて確認しましょう。「床工事一式」だけでは、どこまで施工するのか分かりにくいためです。
■まとめ|見えない下地まで確認してから決めよう
畳からクッションフロアへの変更で起こりやすい失敗は、カビ、段差、表面の波打ち、床の沈み、継ぎ目の浮き、家具のへこみ、足元の寒さです。
これらの多くは、クッションフロアという素材そのものより、畳の上へ直接敷いたことや、畳を撤去した後の下地処理を省いたことによって起こります。
短期間だけ部屋の雰囲気を変えたい場合と、持ち家で長く使う場合では、選ぶべき施工方法も異なります。費用だけでなく、湿気、床下の状態、家具の量、断熱性まで含めて検討しましょう。
亀谷工務店では、横須賀市を中心に、和室から洋室へのリフォームや床下の補修に対応しています。畳を剥がした後に必要な工事を確認し、クッションフロアとフローリングのどちらが暮らしに合うかをご提案します。
「まずは費用の違いだけ知りたい」「床下が傷んでいないか見てほしい」といったご相談でも問題ありません。工事を始める前に、今の部屋で気になっていることをお聞かせください。

